葉菜類
ミズカケナ
静岡県の御殿場市と小山町で、稲刈りを終えた冬の水田に作る菜。高いうねを立てて10月中旬にタネをまき、霜が降りるころから富士山の湧水をうね間に流す。水温が年間を通じて13℃前後で安定しているので、流し続けることで凍結を防げる。とう立ちした花茎と葉を、つぼみが開く前に1本ずつ手で摘む。穫ったものはほとんどが漬物になる。
- 旬
- 冬
- 育てやすさ
- ふつう
- プランター
- 広さが要る
- 登録品種
- 3品種
Brassica rapa L. ・ 原産 静岡県御殿場市・小山町(明治19年に越後から種子が持ち込まれたとされる) ・ 出典: 農業生物資源ジーンバンク
みずかけな / 水かけ菜・水掛菜・とうな・クキタチナ ・ アブラナ科
栽培カレンダー
タネまき 10月 / 植え付け — / 収穫 1〜3月
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タネまき | なし | なし | なし | なし | なし | なし | なし | なし | なし | あり | なし | なし |
| 収穫 | あり | あり | あり | なし | なし | なし | なし | なし | なし | なし | なし | なし |
カレンダーの読み方
- タネまき
- 植え付け
- 収穫
- その時期ではない
露地栽培(屋外の畑・プランター)を想定した目安です。ハウスやトンネルを使うと時期は前後します。同じ露地でも北海道と沖縄では1〜2か月ずれるため、 旬のおおよその位置をつかむものとしてご覧ください。
ミズカケナの育て方
土づくりから収穫までの手順を、量と時期の数値つきでまとめています。 露地栽培を想定した目安です。
ミズカケナ栽培の前提
- 科・属
- アブラナ科アブラナ属。作物としてはクキタチナにあたり、現地ではみずかけな・とうなと呼ぶ
- 食べるところ
- とう立ちした花茎と葉。つぼみが開く前のもの
- 場所
- 稲刈りを終えた水田。湧水を引ける場所が前提になる
- うね
- 湧水がうまく回り込むように工夫した高うね
- タネまき
- 10月中旬。10月上旬に稲刈りを終えてから高うねを立てる
- 水を入れる時期
- 霜が降りはじめる11月下旬〜12月上旬
- 水温
- 富士山の雪どけ水が湧いたもので、年間を通じて13℃前後
- 収穫
- 2月〜3月中旬。品種によっては1月中旬から
- 収量の目安
- 10アールあたり約1,000kg
- 産地
- 静岡県御殿場市(高根・玉穂)と駿東郡小山町。作付面積は約3ヘクタール、約35戸
品種の選び方
穫る時期で3つに分かれます。早生の「新湧水菜」が1月中旬〜1月下旬、中生の「GR清水菜」が1月下旬〜2月中旬、在来の系統が2月中旬〜3月下旬です。産地はこの3つを組み合わせて、1月から3月まで切れ目なく出荷しています。在来の系統はいちばん遅く、春に近づいてから穫るものにあたります。家庭菜園で作るなら、湧水を引ける場所があるかどうかが先の問題になります。水を流せない場所では、この作物の仕組みそのものが成り立ちません。
育て方の手順
稲刈りのあとに高うねを立てる10月上旬
稲を刈り終えた水田に、高いうねを作ります。あとで流す湧水がうね間をうまく回り込むように、水の通り道を考えて立てるのがこの作物の要点です。ここで水が溜まる場所や流れない場所を作ると、冬のあいだに差が出ます。
タネをまく10月中旬
立てた高うねにタネをまきます。まだ水は入れません。霜が降りるまでのあいだに発芽させ、株をある程度まで育てておきます。
- まきどき
- 10月中旬
うね間に水を流す霜が降りはじめる11月下旬〜12月上旬
株が育ったところで、うね間に湧水を流し入れます。地域ではこれを「水をかける」と言い、作物の名前もここから来ています。湧いたばかりの水は年間を通じて13℃前後なので、流し続けることで畑が凍るのを防げます。冬のあいだは水を止めません。
- 水を入れる時期
- 11月下旬〜12月上旬
- 水温
- 13℃前後
とうを手で摘む2月〜3月中旬(早生は1月中旬から)
とう立ちした花茎と葉を、つぼみが開く前に穫ります。水の張った田に入って1本ずつ手で摘むので、人手のかかる作業です。開いてしまうと商品にならないため、穫り時を逃さないように何度も見て回ります。
- 穫り方
- 1本ずつ手で摘む
漬物にする穫ったあと
洗って塩を振り、重石をのせて漬けます。翌日、水が上がってきたら上下を入れ替えて漬け直します。漬けてから3〜4日が食べごろです。塩の量は、菜1kgに対して30〜40gが目安になります。
- 塩の量
- 菜1kgに30〜40g
- 食べごろ
- 漬けてから3〜4日
よくある失敗と防ぎ方
| 起きること | 原因 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 冬のあいだに株が凍えて傷む | うね間の水が止まっている。流れていない水は冷えてしまう | 湧水を流し続ける。水の通り道ができるように高うねを立てておく |
| 穫ったとうに花が咲いてしまっている | つぼみが開いたあとに摘んだ。暖かい日が続くと一気に進む | 穫り期に入ったら毎日見て回り、つぼみが開く前に摘む |
| そもそも作れない | 湧水を引ける水田が無い。この作物は水を流すことが栽培の中心にあたる | 水を流せない場所では、同じアブラナ科のとう立ち菜(ナバナなど)に替える |
主な病気と害虫
ミズカケナの育て方の出典
ここに書いた数値と時期は、次の資料で確かめています。
- 水かけ菜農業生物資源ジーンバンク
- 地域の特産物(水かけ菜)御殿場市・小山町静岡県経済産業部
- 水かけ菜の漬物 静岡県農林水産省
- 富士山麓の特産品「御殿場特産 水かけ菜」カメヤ食品
栄養成分
可食部100gあたり / 野菜類/みずかけな/葉/生
- エネルギー
- 25kcal
- たんぱく質
- (2.5)g
- 脂質
- (0.1)g
- 炭水化物
- -g
- 食物繊維総量
- 2.8g
- カリウム
- 400mg
- カルシウム
- 110mg
- 鉄
- 1.0mg
- ビタミンK
- 200µg
- 葉酸
- 240µg
- ビタミンC
- 88mg
- 食塩相当量
- 0g
「Tr」は微量、「(0)」は推定値としてのゼロ、「-」は未測定を表します。
出典: 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(文部科学省・食品番号 06272)
ミズカケナの品種
3品種。カードを押すと特徴と栽培カレンダーが見られます。
- 新湧水菜しんゆうすいな静岡県御殿場・小山で作られる水かけ菜のうち、いちばん早く穫れる早生。穫り期は1月中旬から1月下旬で、正月が明けてすぐの出荷を受け持つ。寒さがいちばん厳しい時期に穫ることになるので、うね間の水を切らさないことがそのまま穫れるかどうかを決める。
- GR清水菜じーあーるしみずな静岡県水かけ菜の中生。穫り期は1月下旬から2月中旬で、早生のあとを受け持つ。早生と在来の系統のあいだを埋める位置にあり、産地が1月から3月まで途切れずに出荷できるのはこの系統があるため。
- 水かけ菜(在来系統)みずかけな(ざいらいけいとう)静岡県御殿場・小山で受け継がれてきた在来の系統。特定の品種名ではなく、地域で選ばれ続けてきたものをまとめてこう呼ぶ。3つのなかでいちばん遅く、2月中旬から3月下旬が穫り期にあたる。