果樹類
サクランボ
1本では実がつきにくく、多くの品種で受粉樹が要る。雨で実が割れるため、色づく頃に雨よけをかける。山形県が国内生産の7割を占める。
- 旬
- 夏
- 育てやすさ
- むずかしい
- プランター
- 向く
- 生育適温
- 15〜25℃
- 登録品種
- 6品種
Prunus avium ・ 原産 ヨーロッパ〜西アジア ・ 出典: ウィキペディア日本語版
さくらんぼ / 桜桃・オウトウ ・ バラ科
栽培カレンダー
タネまき — / 植え付け 11〜12月・1〜3月 / 収穫 5〜7月
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 1月は植え付けの時期です | 2月は植え付けの時期です | 3月は植え付けの時期です | 4月は植え付けの時期ではありません | 5月は植え付けの時期ではありません | 6月は植え付けの時期ではありません | 7月は植え付けの時期ではありません | 8月は植え付けの時期ではありません | 9月は植え付けの時期ではありません | 10月は植え付けの時期ではありません | 11月は植え付けの時期です | 12月は植え付けの時期です |
| 収穫 | 1月は収穫の時期ではありません | 2月は収穫の時期ではありません | 3月は収穫の時期ではありません | 4月は収穫の時期ではありません | 5月は収穫の時期です | 6月は収穫の時期です | 7月は収穫の時期です | 8月は収穫の時期ではありません | 9月は収穫の時期ではありません | 10月は収穫の時期ではありません | 11月は収穫の時期ではありません | 12月は収穫の時期ではありません |
カレンダーの読み方
- タネまき
- 植え付け
- 収穫
- その時期ではない
露地栽培(屋外の畑・プランター)を想定した目安です。ハウスやトンネルを使うと時期は前後します。同じ露地でも北海道と沖縄では1〜2か月ずれるため、 旬のおおよその位置をつかむものとしてご覧ください。
サクランボの育て方
土づくりから収穫までの手順を、量と時期の数値つきでまとめています。 露地栽培を想定した目安です。
サクランボ栽培の前提
- 分類
- バラ科サクラ属。一般にいうサクランボは甘果オウトウ
- 最大の壁
- 自家不和合性。しかも同じS遺伝子型同士では結実しない
- 1本で穫れる品種
- 暖地桜桃、紅きらり、ステラなど
- 王道の組み合わせ
- 佐藤錦×ナポレオン
- 休眠打破
- 冬に7℃以下の低温が約1000〜1400時間必要
- 植え付け
- 11〜3月の落葉期。高畝にして排水を確保する
- 受粉
- 開花後3日以内、気温15〜20℃の日中に
- 収穫
- 5〜7月。追熟しないので完熟で穫る
品種の選び方
「家庭果樹の最難関」と言われますが、育てること自体が難しいのではありません。収穫直前に実が割れることがそう言わせているだけです。雨さえ当てなければ、実はブドウよりずっと手がかからない果樹です。ただし品種選びだけは念入りに。多くの品種が自家不和合性で、しかも他品種であっても互いのS遺伝子型が一致すると花粉管が雌しべの中で止まって受精しません。最高級品種の佐藤錦はS3S6、人気の南陽も同じくS3S6なので、この2つを並べても実はなりません。迷ったら佐藤錦×ナポレオンが王道です。1本で済ませたいなら紅きらりか暖地桜桃を。ただし西日本でよく売られる「暖地桜桃」はシナミザクラという別種で、1本でたくさん穫れる代わりに食味は劣ります。
育て方の手順
場所を選ぶ
3つの条件があります。第一に水はけ。この果樹はほかの果樹に比べて根の酸素要求量が極めて高く、耐水性の低い根系を持つため、排水不良は直ちに根腐れや生理障害につながります。第二に冬の寒さ。冬季に約1000〜1400時間、7℃以下の低温に当たらないと休眠打破できません。第三に、収穫期に雨に当てないこと。開花から収穫までの4〜6月の間だけでもビニールをかぶせる、傘をさす、最悪でも収穫直前だけでも濡らさない。ここが成否を分けます。
植え付け11〜3月の落葉期(積雪地は春)
直径50cm、深さ30cm程度の穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土や完熟堆肥などの有機物を3〜4割、配合肥料を200gほど混ぜ込みます。さらに地面より20〜30cm高く土を盛った高畝にして、梅雨時の滞水を物理的に避けます。家庭では「矮性台木」と書かれた苗を選ぶと小さく管理できます。植えたら地上50cmくらいでばっさり切り戻してください。
- 植え穴
- 直径50cm・深さ30cm程度
- 有機物
- 掘り上げた土の3〜4割
- 配合肥料
- 200g程度
- 高畝
- 地面より20〜30cm高く
プランターの場合 — 市販の果樹の土に赤玉土(中粒)や軽石を混ぜて排水性を強化します。鉢底石は必須です。
受粉開花期(4月上〜中旬)、開花後3日以内
自然の訪花昆虫がやってくれますが、収穫量を増やしたい場合や、すでにビニールで覆っている場合は人工授粉が必須です。まず葯が開いて花粉が出ていることを確認し、耳かきの梵天や毛ばたき(化粧用のチークブラシや綿棒でも代用可)で受粉樹の花をなでて花粉を付け、すぐに別品種の花をなでます。これを品種をまたいで交互に繰り返すだけです。気温15〜20℃の日中に行うと花粉管がよく伸び、受精率が上がります。
剪定冬(12〜2月)
花が咲く枝と葉が茂る枝を見分け、木の内部まで光が届くよう透かします。植えて2〜3年は長く太い枝がたくさん出ます。この枝には花はあまり咲きませんが、葉を茂らせて養分を作るので、混み合いすぎたら内側に出た分だけ根元から間引く程度に留め、残す枝は先端を軽く切り詰めます。生長が落ち着くと、長い枝の根元のほうが花芽になり、花芽をたくさん付けた「花束状短果枝」が出てきます。ここに実がたわわに付きます。逆に短い枝が出ず長い枝ばかりなら肥料が多すぎ、長く太い枝が出ないなら肥料や水が足りないか根が弱っています。長い枝と短果枝がバランスよく配置されているのが理想です。
摘芯新梢が20cmほど伸びた5月下旬頃
春に伸びてきた新梢の先端を摘んでおくと、花芽に栄養が集中して着生しやすくなります。木は少し弱りますが、小さく仕立てたい場合にも有効です。
鳥害対策収穫直前
完熟した実は人間より先に鳥に狙われ、一瞬で全滅します。木全体を網目20mm以下のネットで覆うのが最も確実です。房ごとに台所用の水切りネットをかぶせて口を縛る方法も有効で、これなら防鳥に加えてカメムシの侵入も防げ、通気性も確保できます。
収穫5〜7月
この果実は収穫後に甘くなりません。追熟しないので、全体がしっかり色づき、透明感が出てきてから穫ります。数粒食べてみて素直に甘いと感じたら適期です。完熟品は鮮度が命なので、早朝に穫って冷やして食べるのが最高の食べ方です。
よくある失敗と防ぎ方
| 起きること | 原因 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 収穫直前に実が割れる | 雨に当たった。これがこの果樹が難しいと言われる最大の理由 | 4〜6月の間、ビニールや傘で雨を遮る。最悪でも収穫直前だけは濡らさない |
| 2品種植えたのに実がならない | 互いのS遺伝子型が一致していた。佐藤錦と南陽はどちらもS3S6 | S遺伝子型の違う組み合わせを選ぶ。迷ったら佐藤錦×ナポレオン |
| 根腐れする、生理障害が出る | 根の酸素要求量が極めて高いのに排水が悪い | 高畝にして地面より20〜30cm高く植える。鉢植えは軽石を混ぜて排水性を確保する |
| 暖地で花が咲かない・咲きそろわない | 冬の低温が足りず休眠打破できていない | 7℃以下が約1000〜1400時間必要。暖地では暖地桜桃を選ぶ |
| 葉ばかりで花束状短果枝が出ない | 肥料が多すぎる | 施肥を控える。逆に長く太い枝が出ないなら肥料・水不足か根の傷み |
| 収穫直前に全部食べられた | ヒヨドリやムクドリ | 網目20mm以下のネットで木全体を覆う。房ごとに水切りネットをかける |
主な病気と害虫
サクランボの育て方の出典
ここに書いた数値と時期は、次の資料で確かめています。
- サクランボの育て方 完熟の甘さは家庭菜園だけの特権!マイナビ農業
- 基礎から覚える 果樹の受粉マニュアル(大森直樹)タキイ種苗 タキイネット通販
- サクランボの育て方・栽培方法(植物図鑑)NHK出版 みんなの趣味の園芸
- サクランボの育て方(HowTo情報)コメリ
栄養成分
可食部100gあたり / 果実類/さくらんぼ/国産/生
- エネルギー
- 64kcal
- たんぱく質
- (0.8)g
- 脂質
- (0.1)g
- 炭水化物
- -g
- 食物繊維総量
- 1.2g
- カリウム
- 210mg
- カルシウム
- 13mg
- 鉄
- 0.3mg
- ビタミンK
- (2)µg
- 葉酸
- 38µg
- ビタミンC
- 10mg
- 食塩相当量
- 0g
「Tr」は微量、「(0)」は推定値としてのゼロ、「-」は未測定を表します。
出典: 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(文部科学省・食品番号 07070)
主な産地
2024年産 / 全国の収穫量 11,500 t / 統計での作物名: おうとう
出典: 作物統計調査 果樹生産出荷統計(農林水産省)
サクランボの品種
6品種。カードを押すと特徴と栽培カレンダーが見られます。
- おすすめ佐藤錦さとうにしき山形県山形県東根市の佐藤栄助氏が「黄玉」と「ナポレオン」を交配して育成した品種。国内のサクランボの代表にあたる。糖度が高く酸味とのつり合いがよい。日持ちせず、穫って数日で味が落ちる。自家不和合性なので、受粉樹が別に要る。
- 紅きらりべにきらり山形県山形県農業総合研究センターが「レーニア」に「コンパクトステラ」を交配して育成し、2008年に品種登録した。自家和合性なので、自分の花粉で実がなる。1本で穫れる数少ないサクランボにあたる。果重約9g、糖度は約19%と高い。収穫は6月中〜下旬。
- 暖地桜桃だんちおうとう西日本でよく売られるサクランボで、正しくはシナミザクラという別種にあたる。1本でたくさん穫れる代わりに、食味は佐藤錦などのセイヨウミザクラに劣る。暖かい地域でも育ち、結実しやすい。
- 紅秀峰べにしゅうほう山形県山形県が「佐藤錦」に「天香錦」を交配して育成した品種。佐藤錦より1週間ほど遅く穫れる。実が大きく果肉が締まっていて、佐藤錦より日持ちする。甘みが強く酸味は控えめ。佐藤錦と組み合わせると収穫期を伸ばせる。
- ナポレオンヨーロッパ原産の古い品種。日本には明治期に入った。酸味が強く、そのまま食べるより缶詰などの加工に向く。佐藤錦の父親にあたり、いまも受粉樹として植えられることが多い。実は大きく、日持ちは佐藤錦よりよい。
- 高砂たかさご6月上旬に穫れる早生種で、佐藤錦の受粉樹としても使われる。ヨーロッパで古くから作られ、明治初期にアメリカから日本へ入った。長心臓形で大きく、黄色地に紅色が斑に入る。果肉は厚く硬めで果汁が多い。