ブドウの品種
マスカット・ベーリーA
新潟の岩の原葡萄園で川上善兵衛が育成した黒ブドウ。ベーリーにマスカット・ハンブルグを交配し、1927年に交配、1940年に推奨品種として公表された。生食もワインも両方に使える。日本のワイン用黒ブドウでいちばん多く使われている品種にあたる。
ほかの品種と何が違うのか
日本のワイン用黒ブドウで最も使われている。生食もできる。
この品種の要点
- 育成元
- 川上善兵衛(岩の原葡萄園)(1940年〜)
この品種が生まれた理由
川上善兵衛は、日本の気候で育つワイン用ブドウを作るために私財を投じて交配を続けた人物にあたる。ヨーロッパ系の品種は雨の多い日本では病気に弱く、そのままでは育たなかった。そこで病気に強いアメリカ系のベーリーに、香りのよいヨーロッパ系のマスカット・ハンブルグを掛けた。交雑番号3986として1927年に交配し、1931年に実がなっている。その後、東京大学の坂口謹一郎らと成分分析と試食を重ね、1940年に推奨品種として公表された。
味と食感
イチゴやキャンディに例えられる甘い香りがある。酸味は穏やかで、渋みも強くない。果肉はやわらかく、果汁が多い。生で食べると素直に甘い。
マスカット・ベーリーAを育てるときのコツ
この品種だから変わる点だけを挙げています。土づくりや水やりなどブドウに共通する基本はブドウのページを参照してください。
- 日本の気候に合わせて作られた品種なので、雨や病気に比較的強い。家庭で植えるブドウとしては育てやすい部類に入る。
- 落葉後の冬に剪定する。春に切ると切り口から樹液が出続けて止まらない。
- 実がなりすぎると味が乗らない。房数を減らして1房あたりに養分を回す。
- 棚か垣根に誘引する。放任するとつるが伸びすぎて実がつかなくなる。
プランター・家庭菜園で育てる
- 日本の気候に合わせて作られた品種なので、鉢でも病気が出にくい。容量20L以上を使う。
- 皮がはがれやすいので、鉢の移動時に粒を落とさないよう房を支える。
- 落葉後の冬に剪定する。春に切ると切り口から樹液が出続けて止まらない。
収穫適期の見分け方
- 濃い紫黒色になり果粉が乗ったら穫る。生食なら早め、ワインなら遅めに穫る。
- 房の先端まで色が回ってから穫る。
- 袋をかけている場合は、外して1粒食べて確かめる。ブドウは穫ってから甘くならない。
保存と食べ方
房のまま袋に入れて冷蔵する。皮がはがれやすいので、洗うのは食べる直前にする。
よくある失敗
- 香りに独特の甘さがあり、これを「フォクシー・フレーバー」と呼んで苦手とする人もいる。好みが分かれる。
- 皮が実からはがれやすく、輸送や保存で粒が落ちやすい。
栽培カレンダー
ブドウの一般的な時期を表示しています。
| 作業 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 植え付け | 1月は植え付けの時期ではありません | 2月は植え付けの時期ではありません | 3月は植え付けの時期です | 4月は植え付けの時期ではありません | 5月は植え付けの時期ではありません | 6月は植え付けの時期ではありません | 7月は植え付けの時期ではありません | 8月は植え付けの時期ではありません | 9月は植え付けの時期ではありません | 10月は植え付けの時期ではありません | 11月は植え付けの時期です | 12月は植え付けの時期です |
| 収穫 | 1月は収穫の時期ではありません | 2月は収穫の時期ではありません | 3月は収穫の時期ではありません | 4月は収穫の時期ではありません | 5月は収穫の時期ではありません | 6月は収穫の時期ではありません | 7月は収穫の時期ではありません | 8月は収穫の時期です | 9月は収穫の時期です | 10月は収穫の時期です | 11月は収穫の時期ではありません | 12月は収穫の時期ではありません |
カレンダーの読み方
- タネまき
- 植え付け
- 収穫
- その時期ではない
露地栽培(屋外の畑・プランター)を想定した目安です。ハウスやトンネルを使うと時期は前後します。同じ露地でも北海道と沖縄では1〜2か月ずれるため、 旬のおおよその位置をつかむものとしてご覧ください。
ブドウのほかの品種
8品種。果実の大きさや産地で見比べられます。
- おすすめシャインマスカット農研機構が「安芸津21号」に「白南」を交配して育成し、2006年に品種登録した黄緑色の大粒ブドウ。皮ごと食べられて種がなく、マスカットの香りと糖度18〜19%の甘さを併せ持つ。1粒13g程度になる。日持ちがよく、房のまま長く保つ。
- 巨峰きょほう大粒で濃い紫黒色のブドウ。日本のブドウを代表する品種で、甘みが強く香りも豊か。皮は口に残るのでむいて食べる。1房400〜500gになり、粒は12〜15g前後。種なしにするにはジベレリン処理が要る。
- デラウェア小粒のブドウ。市販のものはジベレリン処理によって種なしにしてある。処理をしない場合は種が入る。他のブドウより早く、6〜7月から出回る。粒が小さく皮ごと押し出して食べる。アメリカ原産で、日本には明治期に入ってきた。
- ピオーネ巨峰に「カノンホール・マスカット」を交配して育成された大粒種。巨峰より粒が大きく、酸味が穏やかでマスカットの香りがある。種なしにしたものは「ニューピオーネ」として流通することがある。皮は口に残るのでむいて食べる。
- ナイアガラ緑白色の小粒のブドウ。アメリカ原産で、独特の強い香り(フォクシー・フレーバー)を持つ。生食のほかジュースやワインにも使われる。寒さに強く、北海道や長野の寒冷地でも育つ。皮ごと口に入れて果肉を押し出して食べる。
- 藤稔ふじみのり神奈川県神奈川県藤沢市の青木一直が育成した黒ブドウ。井川682にピオーネを交配し、1985年に品種登録された。1粒20g前後と大きく、30gを超えることもある。果汁が多く、甘みと酸味のつり合いがよい。
- ナガノパープル長野県長野県果樹試験場が巨峰にリザマートを交配して育成し、2004年に品種登録した黒ブドウ。皮が薄く、皮ごと食べられて種もない。粒は12g前後で、糖度が高く酸味は穏やか。9月から10月にかけて穫れる。
- 甲州こうしゅう山梨県在来種山梨県で古くから作られてきた在来のブドウ。果皮は紫がかった薄いピンク色で、果汁は白い。生食もワインも両方に使う。酸味が穏やかで、皮の近くにわずかな渋みがある。日本のワイン用白ブドウを代表する品種にあたる。